SANSUIGO CHANNEL

「野生の菌による発酵」から始まる食と農と森の地域内循環

59渡邉 格さん鳥取県

配信日

渡邉 格「タルマーリー」オーナーシェフ

シェフ

1971年東京都東大和市出身。23歳で政治経済学者の父とハンガリーに滞在。食と農に興味を持ち、25歳で千葉大学園芸学部に入学。「有機農業と地域通貨」をテーマに卒論を書く。
農産物流通会社に就職した後、 31歳でパン修業に入る。2008年千葉県でタルマーリー開業。野生の菌によるパンづくりを追求し、麹菌採取に目覚める。また、10代でパンクバンドに費やしたエネルギーが、起業後はDIY精神に発展。大工仕事を覚え、可能な限り自力で店の改装を行う。2011年東日本大震災を機に岡山県に移転。
2015年鳥取県智頭町に移転し、ビール醸造を始める。著書に『田舎のパン屋が見つけた「腐る」経済』(講談社)。同書が韓国でベストセラーに。台湾、中国、フランスでも翻訳され、国内外で講演活動も行っている。
*プロフィールは配信当時です。
*プロフィール写真:KYOKO KATAOKA

タルマーリーについて】
2008年、渡邉格&麻里子が夫婦共同経営で、千葉県いすみ市で開業。自家製酵母と国産小麦だけで発酵させるパンづくりを始める。そして、酒種をつくるための麹菌も自家採取し始めたことで、素材の栽培方法が発酵に表れる、つまり自然栽培(無肥料無農薬)の素材が一番良く発酵することに気づく。
2011年の東日本大震災と福島第一原発事故の後、より良い水を求め岡山県に移転し、天然麹菌の自家採取に成功。そして、「パンを作れば作るほど、地域社会と環境が良くなっていく」事業を目標に、ロール製粉機を導入し、地元産の小麦を自家製粉してパンや焼き菓子の材料に使い始める。
さらに、パンで積み上げた発酵技術を活かし、野生の菌だけで発酵させるクラフトビール製造を実現するため、2015年鳥取県智頭町へ移転。元保育園を改装し、パン、ビール、カフェの3本柱で事業を展開。 
「地域の天然菌×天然水×自然栽培原料」
「今ここで、タルマーリーにしかつくれないパンとビール」
野生の菌による発酵を起点とした地域内循環の実現、里山の恵みを最大限に活かした農産加工と、豊かな食を楽しむ最高の場づくりを目指す。

野生の菌で醸すパン、地ビール&カフェ「タルマーリー」を営む、渡辺格さんに、野生の菌の生態や、その発酵を起点とした地域内循環、里山の恵みを最大限に活かした豊かな食を楽しむ場づくりについて聞いた。