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遠野物語というアーカイブにダイブして民俗文化に没入する – 文化という地域資源を消費しないためのデザイン

83富川 岳さん

配信日

富川 岳株式会社 富川屋 代表

ローカルプロデューサーしし踊り舞手

1987年新潟県長岡市生まれ。都内の広告会社(spicebox / 博報堂常駐)を経て、2016年に岩手県遠野市に移住。Next Commons Lab 立ち上げを経て2017年に独立。
『遠野物語』や郷土芸能など豊かな地域文化に傾倒し、民俗学の視点からその土地の物語を編み直し、いまを生きる人々の糧とするべく様々なクリエーション、プロデュースワークを行う。
株式会社 富川屋 代表として、遠野の文化をテーマにしたデザイン、商品開発、スタディツアー、オリジナル作品づくり、現地でのアーティスト/クリエイターの制作支援など。遠野文化友の会副会長。遠野市観光協会理事。張山しし踊り所属。

20代は都内の広告会社で働きながらも、30代以降のキャリアではローカルを目指したいと思っていた、という富川さん。地域おこし協力隊のシステムを活用して地域事業の立ち上げを行うNext Commons Lab.のプロジェクトの立ち上げの場所がたまたま遠野市だったことで、なんの前情報もないままこの地を訪れた。移住当初、学ばないままに遠野物語を文化コンテンツ化しようとして大滑り。地元の方から諭され紹介された地域史研究家と「遠野物語」を紐解き深くリサーチすることが遠野の自然、民俗、文化と深く繋がるきっかけとなった。 同じく遠野に伝わる民俗芸能「しし踊り」にも移住後すぐに舞い手として参加。深く潜って初めて気づく地域に伝わる自然観や民俗文化の面白さをどうやって伝えるのか?潜って見出した本質を、現代のカルチャーとしてプロデュースして魅力を発信することで、遠野物語というデータベースにアクセスして自ら創作し発信してくれるアーティストやクリエイターを遠野に呼びこんでいる。文化を消費するのでなく、耕すように丁寧にリサーチし、活用しながら、発展させていくことに取り組む富川さんは、1910年に遠野物語を執筆し「願はくはこれを語りて平地人を戦慄(せんりつ)せしめよ」と語った柳田國男とも重なって見える。