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土地により近いところに根ざしていくデザイン -ゴールキーパーからフォワード、グラウンド整備まで「福島をまるごと請け負う」デザインカンパニー

75佐藤 哲也さん福島県

配信日

佐藤 哲也Helvetica Design株式会社 代表取締役

アートディレクター / デザイナー / クリエイティブディレクター

福島県須賀川市出身。フリーのデザイナーを経て、2011 年に郡山市でヘルベチカデザイン設立。一般社団法人ブルーバード代表理事、クリエイティブラボ 「POOLSIDE」クリエイティブディレクター。「こおりやま街の学校」プロデューサーなども務める。グラフィックデザインを軸に、地域資源の魅力を最大化させることを目指し、東北や様々な地域でデザインの可能性を広げている。

震災を契機に故郷・福島にヘルベチカデザインを起業。地元のグラフィックやパッケージ、ブランディングなどの仕事から、現在は行政に関わる地域の仕事にも多く携わる。震災以降、補助金など福島のための予算が東京の企業に流れていくのを多く見てきた。だから、広告的に使うのでなく、地域のクライアントと一緒に考え、発見しながら地域に根ざすことにお金を使う。そのためヘルベチカデザインが請け負うデザインは多岐にわたる。東京ではデザインは分業だが(プロジェクトのなかの細分化された部分しか発注されない)、福島ではサッカーでいうと、ゴールキーパーからフォワード、場合によってはグラウンドを作るところから全てイチから。しかし、だからこそ、この街だからできるデザインのあり方、活動とデザインがあわさって「これは福島だ」と思えるものが作れる。一つ一つここでやることの意義をきちんと考えたい。だから、最近は自分が暮らしを知っている、景色と暮らし方を知っているところのデザインしかできないという。

外部から良し悪しを評価されたくないから、新しく作る食堂はSNSもやらず、ロゴやビジュアルさえつくらない。ブルーバードで取り組むローカルメディア「real local」は記事とお金(広告)を切り離すため、媒体立ち上げ時に作った20台の屋台のレンタル料が活動資金になっている。佐藤さんの手掛けるデザインは、街の中に組み込まれていく、10年後は本質的に街が回るようになっていくデザインである。